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9/15/2015

ブラックアウトナビゲーション

■ 遭難と遭難未遂の間

週末は大きな山行を経験した。

山は晴れて気分が良く、時々雨の予報も曇り空程度で、降られることがなかった。肉体的な不快感はなく、山は「おいで」といざなっていた。

ところが、山はそう言っていながら、次々と予想外の試練を課してきた。

台風の後の大増水、急流、想定より深い淵、困難な徒渉、それらを避けるための髙巻きというより、大髙巻き、それに伴う懸垂、リードクライム、そうした迂回を取るためのルートファインディング、ツメで避けることのできない、激藪の藪漕ぎ・・・

それらの困難が押す時間・・・ 時間は、かなり押してしまった。標高差と距離を基に、これくらいで行けるだろうと想定した時間が、まったく役立たずだったのだった。

しかも、慣れた尾根でのブラックアウト、コンパスナビゲーション… 尾根の分岐点、下り出しでのブラックアウトは致命的だ。なんでもないところで、小一時間、ルートを失い、心理劇を多少演じた。

焦りは禁物と知りながら、心理的なプレッシャーがかかる暗闇での山。

それは、山は歓迎しているが、甘くはないよ、という意味なのか?ゆりかごで成長しなさいという意味だったのか?経験を積めと・・・。

もうワンビバーク、ということを真面目に考えた、初めての山だった。

■ たられば

遭難と遭難の手前は、ほんの少しのことだ。 ”たら、れば”、は、無用だと良く言われる。

しかし、考え付く、ありとあらゆる、”たられば”をあげておくべきだと思う。

もっとも直近から・・・

・暗くなる前に1657に着けば(尾根の出だしでルートが決定した後)で、あればルートロスせず済んだかも?
・ということは、あと10分無理を強いても粘って歩けば良かったかも?
・疲労していなかったら、10分早く歩けたかも?
・前の予想外の藪漕ぎがなければ、1時間早かったかも?
・ツメで右の尾根ではなく、左の尾根に取り付いていれば、時短したかも?
・余計な部分で遊んでいなければ、明るいうちに1657に着いたかも?
・予定通り1時間早起きしていれば、明るいうちに1657につけ、ルートロスはなかったかも?
・ちゃんと早く就寝していればよかったかも?
・歩きのペースが通常より少し遅かったのは初心者(当方)を連れていたからかも?
・ペースにはザックの重さが関係したかも?
・ペースにはシャリバテが関係したかも?
・ペースには思いやりが関係したかも?
・もっとトレーニングを積んでいれば、早く歩けたかも?

■ ブラックアウト&コンパスナビ

反面、ブラックアウトした中で、ちゃんとコンパスナビができた。

こんなことは、頼んでも実行できることではない。ハッキリ言って、計画して経験できるような中身ではない。

なぜ、ちゃんと戻ってこれたのか?

・誰もパニクらなかった
・半径500mくらいの誤差では、現在地を理解していた(GPSなしでも)
・地形と沢音から、ルートロスを早い時点で認識できた
・ホワイトアウト時のコンパスナビゲーションを知っていた
・それは雪山をやるからだった
・万が一用にGPSを携帯していた
・予備電池をもっていた
・夜間登山の経験があった
・ベテランと一緒だった
・軽量化して行った
・皆、健脚者だった
・食料の予備があった
・いざとなれば、もうワンビバークも可能な宿泊装備もあった
・日ごろトレーニングがしてあり、睡眠不足でも、15時間ほどの歩行もこなせた

■ 何を学んだか?

 1)暗闇でのルートロスがいかに不安か?ということ

 2)ほんの小さな距離が何倍もに感じられること

 3)ルートロスでは気持ちの問題が大きい 

 4)地図読みの山でのブラックアウトは、明瞭な点まで行ってからでないと危険。

 5)暗闇ではルートファインディングは基本的にできない

まるで、新田次郎の小説の登場人物になったかのような気分がした(笑)。

(笑)と書いていられるのは、無事帰ってこれたから、で、実は (笑)なんて書いている余裕はない。

そりゃ~必死だった。逆に言えば、ピークの能力では、こういう困難が切り抜けられるということだ。

今回コンパスナビに自信を付けた。

ブラックアウトした尾根の分岐点でのルート設定にも、ナビにGPSは使っていない。使ったのは現在地の同定だけで、あとはコンパスナビだ。ナビ開始からほんの少しで、ルート復帰した。

■ 反省点

たとえ、強く、担げて、トレーニング万全で、疲労がなくても、なんらかの回避不可能な理由で遅れることはある。

・・・ということは、いくら強い人でも、それに備えなくてはならない。

GPSは必携だ。

現在地を同定するには、電波が取れないところでも、正確な地図表示ができるように、地図を事前にダウンロードしておかなくてはならない。

最近、私は地図読みで、普通に山を歩けるようになったため、GPSはログ取り専用機になっており、山中でGPSの地図を確認することはほとんどないため、事前ダウンロードを怠っていた。

ただ予備の電池は持って行く。通常使わない。ログが欲しいときは、節電で機内モードにする。そうでない一般道なら、電池を切ってしまうからだ。一般道は、標高さえ分かれば、現在地を特定できる。

今回は、電池を入れた時点で電波が入り、地図を取得することができたので、現在地の同定が楽だった。

もし電波が入らなければ、座標は出るが、現在地が地図上にマッピングされないので、座標で、紙の地図上に現在地を落とし込めるスキルが必要だ。

座標でのマッピングスキル

も必要だ。以前、チャレンジしたら、座標の数値には、測地系の違いで値が異なり、良く分からないなと済ませてしまった。再確認が必要だ。

■ 良かったこと

今回、最後の最後までGPSは出さなかったこと。

15時間、歩けたこと。

ストレスがかかった状態で、互いの様子や弱点が確認できたこと。

いつも、良い子の山時間ばかりでは、経験が積めないこと、が分かった。

が、経験を積むには?

遭難未遂を敢えて冒すと言うことは、基本的にないわけなので、やはり貴重な経験なのだということだった。
迷ったのはほんの標高差50m程度





7/13/2015

沢の難易度

■沢の難易度

初心者を連れて行くならどこがいいか?という発想で色々と考えています。

「ヤマケイテクニカルブック4:沢登り」によれば、グレードの基準は

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
1級(初心者向き)
 岩場でIII級のピッチをリードできる者や、沢に慣れたパーティーはロープ不要の場合が多い。

2級(中級者向き)
 初級者のみでの入谷は控えたい。滝の直登にはロープを要する場合もある。高巻き技術も必要。

3級(中級者向き)
 滝の直登には部分的にIV・V級のピッチも含む。ゴルジュの通過にも高度な技術を要する。

4級(上級者向き)
 沢の中でビバークする長い谷で、高巻き道も不明瞭。遡行技術だけでなく雪渓の対処法など総合的な登山技術も必要。

5級(上級者向き)
 日本の渓谷としては最高ランク。泳ぎ、徒渉、高巻きなどで失敗すれば命取り。年に10パーティーほどが遡行に成功している。

6級(篤志家向き)
 昼なお暗く、井戸の底のようなゴルジュ帯が続く異様な世界。雨が降っても逃げ場はなし。完全遡行パーティーは極めて少ない。

例:
   芦川横沢3級ノーマル 
   四十八滝沢2級マイナス 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

しかし、人を連れて行くとなると、その人の経験は色々で、沢の経験があっても連れて行かれるだけの場合は、登攀力の証拠にはなっても、地図読み力の証拠にはなりません。

同じ1級でも地図読み要素があるところには連れていくのは用心が必要です。

と、あれこれ考え、今まで行ったことがあるルートを、難しい順に並べてみました。

こうなりました。 

≪個人的易しい順ランキング≫
1.ナメラ沢 歩くだけだが滑がコケで非常に滑りやすい 長い
2.金石沢 歩くだけ 滝は見るだけ 簡単に巻ける 短い
3.伝丈沢 ひざ下 濡れたければ濡れれる 短い 
4.ズミ沢 絶対に濡れる 水量が多い沢 短い 
5.本間沢 ずぶぬれ 短い 
6.モロクボ沢  バランスが良い 
7.釜の沢  スメアリング 長い 
8.ヤチキ沢 脆い 危険 
9.海沢  泳ぐ 
10.芦川横沢  スタンス極小

■ もっと分割して考えよう・・

しかし、これは隔絶という要素を考えていないことに気が付いた。

考える要素は

1) 安全圏との隔絶度
2) ルートの登攀要素
3) サイズ
4) 水量
5) 脆さ
6) 下山道の容易さ
7) 事故歴の有無

くらいでしょうか・・・

■1) 安全圏との隔絶度

当然ですが、安全圏と隔絶されていればいるほど、アブナイです。沢で怪我をしても・・・

 ・山小屋があるわけではない
 ・携帯電話が入らない
 ・ヘリのピックアップには尾根まで負傷者を担ぎ上げないといけない
 ・日本では夜間救助はないので、ビバークになることが多い

 というわけで、一般的な岩のゲレンデや毎日ヘリが飛んでいるような、北アなどの縦走路より危ないです。

 遭難した時に迅速な対応をしてもらうためには、隔絶された場所では3人がベター、です。最低限は2人です。

■2) ルートの登攀要素

当然、  登攀要素 大  >  小 
        危険  大  >  小

です。 滝の数や難しさより、残置支点の有無が重要かも。

■3) サイズ

サイズは体力度との関係です。 短いルートの方がより易しい。ただし、これは計画で短くすることができます。

■4) 水量

水量=溺死可能性。 水量が多いほうが溺死の危険が大きい。 釜が深いと、墜ちたら死にます。泳ぐ要素があると、泳げない人には危険です。

しかも、水温も関係します。雪解け水の沢は非常に寒いです。低体温症の恐れがあります。

逆に水量が少ない沢は、ぬめっていて登攀が難しくなりがちです。

■5) 脆さ

脆い沢は、ホールドやフットホールド(スタンス)がすぐ壊れます。これは岩質によります。

脆いと書かれた沢は、雨の日には辞めておきましょう。支えている土壌が緩くなっていた場合、通常は動かないような大岩が、少しの刺激で動いてしまう可能性もあります。

■6) 下山道の容易さ

下山は尾根です。地図読み力が必要で、尾根の下りは、地図読みは難しいのが相場です。

が、人気があるルートは、大抵は、踏み跡があります。また一般登山道を下山道にしているルートは、下山が簡単。

そのルートの経験者がいれば、これは簡単になります。

■7) 事故歴

事故歴があれば、やはり気を付けた方が良いと思います。

■ これらの要素を5段階で採点し評価してみました

行ったことがある沢を試しに採点してみた。

1) 安全圏との隔絶度
2) ルートの登攀要素
3) サイズ
4) 水量
5) 脆さ
6) 下山道の容易さ
7) 事故歴の有無

        1) + 2) + 3) + 4) + 5) + 6) + 7) 
1.ナメラ沢 2    1   4   1    1   3  2 = 14
2.金石沢 4  1  2  1  2  3 0 = 12
3.伝丈沢 4  1  3  2  2  3 0 = 15 
4.ズミ沢  1  3  2  3  1 1 0 = 11
5.本間沢  2 3 3 3 1 2 4 = 18
6.モロクボ沢 2 3 2 3 3 2 4= 19  
7.釜の沢  2 3 4 3 2 1 4 = 19
8.ヤチキ沢 3 4 3 2 4 4 2 = 22
9.海沢 1 2 3 4 2 1 2 = 17 
10.芦川横沢 2 4 2 2 2 3 = 15

と意外な結果になりました。 登攀要素があっても、一番易しいのはズミ沢。芦川横沢より、ヤチキ沢が難しくなるのは、横沢が道路からすぐにあるから・・・。

登攀要素のあるなしだけでは、沢のむずかしさは、計れない、ということですね。

ちなみに、芦川横沢は2級、後はみな1級の易しい沢です。

1級しか登らなくても、隔絶された場所には、リスクはたくさんあると言うことですね。

7/06/2015

沢の増水

山梨は今日も冷たい雨が降っている・・・。

雨になると、山を中止にするようになるのは、山が近いための贅沢病だ。

そのことについては、こんな学び方をした。

■ ドタキャン

数年前、今からパートナーシップを温めようとしていた山の友達に、山をドタキャンされた。山中湖付近の山の、約束の登山口に、後10分で到着という時だった。約束した人は電話を掛けてきて、「雨だから辞める」。そんなのアリ?日ごろ、ツアー登山の人だから、自分が抜けることでパーティが成立しなくなる不都合については、考えなかったらしい。それでも、あきれた。相手が困ることくらい考えれば分かる。

それで単独でいくことにした。が、山は、行けば行ったで美しく、やっぱり行って良かったな、と思った。ズミの花が美しく、その山の経験は、私にとっては大きな財産になった。

■ 増水についての判断 

先日行ったヤキチ沢は、増水を心配した。しかし、当初は、雨による増水を心配した。

調べたら、アメダスの降雨量は、1時間あたり降雨量 だった。それでは沢の増水は予測できないかもしれない。前日24時間のトータル降雨量が必要と思う。24時間降雨量で検索すると、気象庁のデータがちゃんと出てくる。

同行者によると、100mmの雨では中止決定だそうだ。それは、一時間あたりなのか、何なのか分からなかったが、アメダスの表示のことではないか?と思う。一般に林道は一時間当たり50mmの雨で閉鎖になる。(山梨県林道 HP

この気象庁のデータを見ていると、おおよそ、韮崎は甲府より、降水量が少ないようだ。前線が太平洋側にあるか、日本海側にあるかにもよるとは思うが、どちらにしても、日照時間日本一の明野をもっている土地柄なので、全般にどちらの海の影響も受けにくい内陸寄りほど降雨の影響は受けにくい、ということだと思う。

水量は少ない。サントリーの南アルプスの天然水の取水地がある、というのは、ちょっと意外だ・・・。


■ 増水なし

行って見たら、ヤキチ沢は、まったく増水していなかった。

いや平素の状態を見ていないので、比較はできない。けれど、まぁ普通の沢として見ても水量が少ない沢のようだ。アイスでも使える沢と聞いた。つまり水量が少ない沢という意味だ。

増水の心配がなければ、沢では、どうせ濡れるので、多少の雨なら、まぁ関係ないことが多い。

ただ雨により、グランドが緩くなるので、もともと脆いことで有名な沢には、近づかない方が賢明だ。大きな岩などを支えている土壌が緩んで、ちょっと手を掛けただけで転がってきたら困る。

やはり、登山は、こうして個別に条件を検討して、安全を確保するのが大事なこと、だと思う。

まぁ、そういう訳で言いたかったことは、

 雨だったけど、やっぱり行って良かった、

ということだ。

■ 大事なこと 個別判断

私が嫌いなのは、先入観や思い込みで判断することだ。 たとえば、 雨の日=危ない=行かない。 これでは何を判断したことにも、全くならない。

 どんな判断も、根拠を突き詰めるというのが、大事なことだ。 

たとえば、雨の日の沢は危ない、しかし、どれくらいの雨でどこのどんな沢が危ないのか? それが大事な要素だ。

行って見て危ないと思えば、判断して帰ればよい。最初から何もしないのが一番いけない。

単なる、危ない危ないの大連呼だと、運転だってアブナイし、家にいたってつまづいて死ぬのだから、生きていることだって危ない。死を恐れて生きることをおろそかにするなんて本末転倒だ。

”危ない”を”危なくない”に変えるために、大事なことは、

 本質で判断する、

ということだ。たとえば、雨での増水が危険だというのなら、増水を個別に調べることによってしか判断できない。

調べた結果、増水していないのであれば、住んでいる場所で、ひどい雨だからと言って、これから出かける先では、それほどひどい雨ではないかもしれない。

それは、YESかもしれないし、NOかもしれない。

大事なことは思い込みを捨て、自分の頭で本質は何か?と考えることだ。


≪まとめ≫
・増水は、連続雨量100mmは異常。50mmで林道閉鎖

・雨天時は、脆いことで有名な沢には行かない

・雨天時は、もともと水量の少ない沢に行く

・増水していなければ、雨はあまり沢山行には関係がない

・個別に判断することが大事



6/23/2015

仙人集会

■ 仙人集会

海外遡行同人という会をご存知でしょうか。文字通り、海外の未踏の沢を踏破することを目的にした会で、近年は台湾の沢の開拓が顕著な踏み跡です。世界にはまだまだ未踏の地が一杯残されているそうです。

こちらの同人は、日本の沢登り界をリードしている達人揃いですので、わたしにとっては雲上の世界であることは、あらかじめ分かっていましたが、せっかく教えてもらったので、一生に一度の機会と思い、参加しました。

 山行報告者は、著書『俺は沢ヤだ!』で有名な成瀬陽一さん他です。山梨県が誇る世界のアルパインクライマー佐藤祐介さんと那智の滝に登った(そして叱られた)、お二人も山行報告されたほか、今回はゲストで、『剣沢幻視行』の著者和田城志さんも、最近のヒマラヤ地震のとき、現地におり、雪崩に遭遇して一命を取り留められた貴重な経験を話されました。

基本的にカジュアルな会でしたので、参加者は大御所以外にも、若手の学生メンバーや女性もいらっしゃいました。みなさんフレンドリーで初心者も快く受け入れられ、懐の深さを感じました。

■ 感想

今回の学びは、初登攀を目指す活動は海外の沢に場所を移し、継続的に続けられている、ということを知ったことでした。

O西さんの400mを超す大滝登攀などは、草を頼りに垂直の壁(滝)を攀じる行為でした。初登は古い記録が多いので、私は本好きなことから、古川純一さんなどの記録など初登関係の記録を少しですが読み、現代のレジャー的クライミングとは全く違う登山行為に驚いたのですが、それが現代でも同様に場所を移して進められていました。驚きです。

 『セクシー登山部』でも有名な〇城さんの報告は、ミャンマーなど南方での沢開拓ですが、46日間と長く、食料は重く、不快感との戦いで、登山における新ジャンルを開拓中?というものでした。

 和田さんの報告は、アルパインは今も昔も死のリスクを希求するものだと思いました。余談ですが、懇親会で75歳という方に「本当にしたいことは何なんや!」と詰め寄る和田さんの姿が印象的でした。真摯な生きざまという言葉が似合う和田さんです。詰め寄られている方は、往年の沢ヤとはいえ、もう75歳ですから、ちょっとお気の毒でした。万人が和田さんのようだと、社会は成り立たなくなりそうですし・・・(^^;)。

一般の人にも役立ちそうなアドバイスでは、和田さんによると、夫婦円満は登山生活充実の肝だそうです。また、社会的事情から、日本人登山家ならば、時間の自由ができ、経済的ゆとりができる、50歳から上がヒマラヤニストとしては油が乗る時期だそうです。

こちらが山行報告のリストです。かなりの部分、ネットでも読める状態になっています。

①台湾・三桟北渓・・・成瀬陽一さん
   http://blogs.yahoo.co.jp/toshizo1211/54700965.html
②タイ西部熱帯雨林46日間の沢旅・・・今月号岳人
③台湾・郡大渓~哈伊拉羅渓・・・
   http://blog.finetrack.com/?p=5539
④台湾・蛟龍瀑布・・・
   http://blogs.yahoo.co.jp/tako_1949/29945014.html
⑤ネパール ランタンリ登山と地震報告・・・和田城志さん

■ 今年は沢かな~と

私は山梨生活5年目、登山も5年目。雪と沢の仲間を求め、山岳会の門をたたきました。

以下が現在の沢歴です。

2015年6月14日 丹沢 本間沢 会山行 易しい登攀系 ヒルが核心?!
2015年6月13日 奥秩父 ナメラ沢&青笹尾根 自前 癒し系 偵察
2015年5月31日 板敷渓谷から中津森 ベテランと。登攀的だけど癒し系
2015年5月27・28日 伝丈沢 沢泊 自前 癒し系 初心者の女性と行って沢でお泊り

2015年1月28日 金石沢アイス 師匠が付き合ってくれた。沢を一個間違い、枝沢に入る。 
2015年1月11日 チョキ 自前 冬の沢リベンジ。鋲付長靴で。お日様が恋しくなり尾根に逃げた

2014年10月16日 金峰山 伝丈沢・金石沢  自前 癒し系 前穂北尾根の翌日
2014年8月24日 大菩薩 大鹿川ズミ沢 初の自前沢☆ 簡単な登攀 先輩がついてきてくれた♪
2014年6月25・26日  丹沢 沢継続 金山谷沢、檜洞沢、ユーシン沢 師匠と。ついていけなかった。
2014年6月12日   丹沢 モロクボ沢 師匠と。大増水中

2013年10月12日・13日 奥秩父 笛吹川東沢釜ノ沢東俣 沢登り講習会
2013年6月23日  御坂 芦川横沢  先輩におねだり。岩も初めてなのに登攀。死に一番近づいた沢

2012年7月22  奥多摩 海沢 ツアー 人生初の沢 泳ぐ系 紫唇でガタガタ震える沢 頭がキーンと頭痛

入会初年度の去年2014年は、純粋な沢山行は4つ。内一つは、山切れ症状の沢バージョンになり、単独でも行くと会に言ったら(ちゃんと一般登山道が並走している沢で週末です)、70歳古希の女性の先輩が同行してくれました☆感謝。

13年は2沢山行で、内一つは講習会(笛吹川東沢釜の沢)です。残りは敗退練習の沢。

12年は、そもそもどこでもいいから行かなくては、沢が好きなのかどうかも分からない!と思ったので、自然学校が主催するツアーで、沢を体験。ツアーなので、安全管理された状態で、防水パッキングの仕方から教った。

山岳会は登山学校ではないのだからと思い、アルパインについては、入会前に山岳総合センターのリーダー講習(1年のカリキュラム)で、危急時を中心に講習を受け、基本的なクライミングシステムや自分が何を分からないといけないのか程度は学んでから、山岳会に入会しました。(が、それでも岩登りを始めたのは入会後。つまり去年)

沢については、労山の講習を受けてから入会しました。これが最初に基本的なことを教わった機会でしたが、その前に本で基礎知識は入れてから行きました。

やっぱり初心者は何が分かっていないのか分かっていないので、びっくりするようなことを平気でします。私もそれに漏れず、なんと核心部で自分のアンザイレンを自分で解きました・・・ああ~死ななくて良かった。でも、火事場の馬鹿力ってすごいですね!

沢は、他のジャンルと比べ、危険も大きく、敗退技術には、読図と懸垂下降が含まれます。読図はGPSがあるからいいや!と思いがちですが、なしでやってみるとこれが面白い!ハマりそうです。

沢の場合、怪我をしても、ヘリでピックアップと言うのは難しく、日帰りでもビバークとなるケースが多いです。となると、焚火技術が要りますね~。

もろもろの点で、一般登山よりリスクが大きい点を踏まえると、基礎的なこと・・・危険が何かについての理解・・・は必要です。

その理解がない間は、墜落リスクが取れないので、登攀要素がない、歩くだけのところに行くわけですが、ただ歩くだけでも、転倒での怪我のリスクがないわけではないです。ベテランが怪我をするのは大抵は歩くだけのところです。会の沢ヤの先輩は足首を骨折した足で延々歩いて下山したそうです。

そうこう言う訳で色々と乗り越える障壁の大きい沢山行ですが、今年はすでに4つの沢山行があり、うち2山行は会で実現した山行です。(ナメラ沢、本間沢)大変、感謝しています☆ 

今年は乙女の沢、癒し系の初級の沢を頑張る予定です☆


  

5/19/2015

沢の学び方

■ 都岳連沢講習

都岳連の沢講習のお知らせが来た。私は残念ながら、もうこの講習が目的とするレベルには自分で到達してしまった・・・。

こうした講習会に出れる人はラッキーだが、出れない人は多い。

それでも沢に行きたいという場合は、自分で、この講習内容をマスターすべく、細かく要素に分けないといけない。

というわけで、この講習のカリキュラムを事例として、考察してみたい。こういうものは、そういう用途に使うものだ。つまり、カリキュラム構成を盗むのだ。



■ 知識の重要さは実技の半分

まず全体像を眺めよう。

机上が6、実技が5だ。 比重は6対5。 初回は顔合わせ程度のことだろうから、除外したとしても、5:5。それだけ、知識、座学の比重が大きいと言うことだ。 登山は山に行く前から登山なのと同じだ。

私は山岳会は非常に良いところだと思っている。が、宿題(座学)をやってくるか来ないかは、非常にばらつきが大きい。

結果として、同じ山行をしても、学んでくる人と来ない人で差がつく。だから、同じ山行数行っても、その実力には違いが大きく出てしまう・・・と思う。

一般に、山行の数を稼げない社会人は一つ一つの体験の濃度を上げる作戦を取るしかない。つまり、一つの事柄から10を学ぶためには、沢の参考書のひとつや二つくらいは、自分で読んできている、というのが大事になる。

■ 勉強会 5回

回数を見てみよう。四ヶ月で12回。つまり、1ヶ月にすると3回。そのうち、実技は1回~2回だ。

一か月にどれだけ沢に休暇が費やせるかで、沢ヤとしての成長スピードは違って当然だ。毎週沢に行けばそれだけ早く沢とお近づきになれるだろう。

座学は、2時間程度の座学だから、講習会に参加できない普通の人は、仲間同士で集まって勉強会とすればよい。勉強会は5回程度は必要で、一回ついて2時間。有志が手ごろな参考書から該当するところをまとめて、皆によんでもらえばよいだろう。

2時間×5回で、約10時間。 それだけの座学が最低限必要と考えられていると言うことだ。

沢は登山と違って装備も違うので、ギアの買い方から教えてもらう方が近道だ。

ギア 沢靴(フェルトか、アクアステルスか、わらじか?)買う時はキツメを買う。
    ウエアは濡れてもすぐ乾くもの
    
防水 濡れないように大型のごみ袋と小さいゴミ袋を駆使。泳ぐような沢でなければ、大抵は厳密に防水しなくても構わない。

■ 山行の計画から読み取る

山行の日というのは、重要な情報を色々含んでいる。

6月は1回。7月は1回、8月、1回。9月1回、10月1回。それぞれの沢に最も適した季節が選んであると予想すべきだ。(たまに違うこともあるからその場合はツッコミを入れる)。

また目的とする学習内容に即した内容の沢が選んであると思って間違いない。

■ 山行の組み方の観察

1)バンガロー泊&葛葉川本谷  一泊が沢泊でなく、バンガローというのは敷居を下げる
                     目的か? この沢は定番だ

2)源次郎沢 & 水無側  沢泊   どのような性質の沢だろうか?
                      沢泊だが、沢泊で挫折するようだと沢適正なしかも

3)水根川 徒渉、へつり、 登攀  やっと登攀要素が出てきて沢”登り”らしくなった 
                       水に対する危険管理は一般登山では出てこない

4)バンガロー泊、小川谷      登攀に加えて、高巻きが出てくると、ミニバイルが
                     欲しいかもしれない

5)東沢釜の沢            釜の沢は初級の沢で、本来1)の人には、釜の沢の前に
                      数ステップ必要だと私は思ったが、やっぱりそういう風に
                      カリキュラムが組んであって、わが意を得たりと思った。

釜の沢は初級の沢とされているがそんなに易しくはない。スラブの登攀(巻けるが)、泊り場の選定、一日では山頂に抜けれない、などがその理由。一通りのロープワークは必要だ。

ちなみに手持ちのルートガイド集によると

 1)葛葉川本谷 1級 3時間、標高差680m

 2)源次郎沢 1級 3時間 標高差750m すべての滝が直登できる 大倉尾根至近 
                              あかるく快適な沢
   水無側   1級上 4-5時間 標高差900m 丹沢で最もメジャーな沢 手あかが付いた沢
                                  沢泊は車で行ける戸沢出合。
                                  河原が駐車場で、焚き火も可。

 3)水根川 1級上 6~6.5時間 標高差 500m ゴルジュ入門、濡れる沢

 4)小川谷廊下 2級 4時間 標高差300m どっぷりと水に浸かる 天候要注意 
                              易しくなったとは言え、初心者もベテランも
                              楽しめる名渓   

 5)東沢釜の沢 1級上 2日(6~7時間) 森林浴とナメ

となっている。暑い季節には濡れる沢、そうでない季節には濡れない沢。ゴルジュ突破は、泳ぎが入るか、水量次第な面もあり、難易度はその時々で大きく違うと思われる。

ルートの性格を見ると、1)~2)までは、だいぶペツルのボルトルートを思わせるルートだ。

その最後に釜の沢が来ているのが印象的だ。例のごとく、ゴールはスタートでしかない。

■ 沢の難易度

沢の難易度は、岩とは著しく違う。

沢のグレードは岩でのRCCグレードと違って点数を積み上げたものではなく、相対的な比較から決められている。

まず誰もが行ったことのある沢を標準としている。つまり、基準を知るためには、これらの沢に行っておかなくてはならない、ということになる。そこからグレードの話が始まるわけだ。

 1級の沢  丹沢・水無川本谷、奥多摩・鷹ノ巣谷
 2級     奥秩父・大常木谷、谷川・ヒツゴー沢、
 3級     奥秩父・東のナメ沢、谷川・湯檜曽川本谷

たとえば、A沢という沢は、何級かと言うと、ヒツゴー沢感覚的に同等と思えれば、2級となる。少し易しいが、水無川より、難しいと考えれば2級下となる。

気をつけねばならないのは、沢のグレードの要素。1日の短い沢と泊りの沢では違うのが当然だ。

滝の困難さで、1級となった沢もあれば、同じ困難さの滝があったとしても、たくさんの滝が延々と続いて、級が上がることもある。丹沢の3級が登れても、上越の1泊の2級の沢が安全に登れるか?というと、また異なる。

難しさの要素が違うからだ。 むずかしさの要素を個別に理解する、ということは、最近の人にとっては弱点だ。

本チャンに一番難しいピッチグレードを自分が超えていれば行けるはずと思うのと同じで、みな登攀グレードしか見ていない。
 
逆に東北の3級の沢、長く入渓者が少ないが、滝はさほど難しくない沢が登れても、滝のむずかしさのために丹沢の2級の沢で苦戦することもあるのだそうだ。

■ 計画は 常に易から難へ

計画は常に

 易から難へ

つなげなければならない。 自分の手ごたえというものが大事だからだ。

とにもかくにも、沢を知るには、誰かどこでもよいからと沢に行くべきだ。初回はどこでもよいわけなので、ツアーが良いと思う。そうしたツアーに参加している間に、沢好きの知り合いができるだろうし、沢の分類や自分の好みの沢も分かってくるだろう。

大事なのは、連れて行く行かれるという関係を拒否することだ、と思う。自分で歩くとしたら、と発送しながら歩くことだ。ついて行くだけではなく。

私の沢経験を振り返ってみると

2014年10月16日   金峰山 伝丈沢・金石沢 癒し系
2014年8月24日     大菩薩 大鹿川ズミ沢 初の自前沢☆
2014年6月25・26日  丹沢 沢継続 金山谷沢、檜洞沢、ユーシン沢 
2014年6月12日      丹沢 モロクボ沢 師匠と
2013年10月12日・13日 奥秩父 笛吹川東沢釜ノ沢東俣 沢登講習会
2013年6月23日      御坂 芦川横沢 沢で岩登りデビュー 先輩に連れて行ってもらった
2012年7月22        奥多摩 海沢 ツアー

初回の海沢はツアーだ。そもそも、沢とはどういう活動なのかを理解する活動。そういう出費を惜しまないのが、大事だと思う。そうでないと、文字通り訳も分からず、沢に出かけてしまう。

翌年、先輩に頼んだら、いきなり2級上の沢。芦川横沢だ。それは調べていたので知ってはいたが、非常に登攀要素が強い沢でびっくり。ほぼ岩デビューと同じだった。何しろ、ピッチグレードⅣだから・・・(汗)。

先輩同行とはいえ、良く行ったもんだと思う。芦川横沢は今振り返ると、本当に過激だった。このころは岩登りもまだ知らず、よく落ちなかったものだ。

次が泊まりの東沢釜の沢で、1級上。このときも体力や泊り技術には問題を感じなかったが、登攀が難しすぎると感じた。後で知ったのは、巻ける所を巻かずに直登したと言うことだ(笑)。たぶん一緒に行った人が登りやだったんだろう(笑)。講師にだって楽しみは必要だ。これは登山学校の講習会スタイルで行ったので安全管理してもらった沢だ。ここまでは自力での情報収集だ。お金を払って情報を買っている。

その後、師匠が二つ沢へ連れて行ってくれた。これらのうち、経験値となったのはモロクボ沢で、増水していたが、歩ける沢だった。水の透明度を見る。後の一泊の沢継続は雨の中、焚火したが、焚火の経験はすでに何度もあり、特に目新しくはなかった。沢の継続というスタイルを覚えた。一か所懸垂で滝を降りたっけ。こういう難所はベテランがいれば、難所ではなくなっているので印象が浅いが、実際自分の力で行くと緊張を強いられるだろうとは予想がつく。


■ 自分の力量にあったルートを選ぶ力をまずつける

その後、これらの5つの経験の結実が、ズミ沢と伝丈沢の継続。場所柄的に、もっとも手あかがついていない場所が伝丈沢と金石沢で、誰でも歩け、自然の美しい場所だった。

私は基本的に自然が好きなので、あまり手あかがついていない、つまり人で混雑していない場所が好みだ。

5つの沢経験を踏まえて、選んだズミ沢は会心の沢山行だった。

自分の力量に合った沢をルートガイドから選んで来れるだけの知恵がついたということだった。

私自身を含め、初心者は、ルートガイドを読んでも、自分に行けるのか?行って良いのか?

その辺の判断から、つかない。もし敗退したら、それより易しい沢に、次は行く。どんどん難易度を下げていけば、かならず敗退にはならない沢があるはずだ。誰だって歩くことはできるはずだからだ。 

自分のスキルで行ける山、いける沢を選べるという判断力がついているのか?いないのか?は、その人が立ててくれる山行計画で分かる。

飛躍のある組み方をしていると、たぶん分かっていないと分かる。

分かっていない場合の特徴をあげると

 ・超人的体力が必要
 ・山行に連続性がない
 ・その山行に必要な技術要素をブレークダウンした時、必要な技術が身に付く前座の山行がない

一言で言うと、”いきなりすごいルート”という特徴がある。なんというか一発逆転型というか、ドーダ型というか・・・。

一例としてあげると(例に挙げられた人には悪いが)、今冬の冬山合宿がある。

当初の計画では、厳冬期テント泊縦走で木曽駒宝剣だった・・・宝剣には、滑落の危険があるのは誰でも知っている・・・なのに重いテントを背負って行くヤドカリスタイルの山行とリスク配慮なし。

その前にその山を無雪期で経験しているか?というとそれもなし。厳冬期の稜線泊・・・かなり”いきなり”感が強い。では、アイゼントレをしているか?というとしておらず、フィックスロープ工作ができるか?というと、それを厳冬期の風にさらされずにやる経験を積める前座となる山行がない。

当会のその前の山行は、アイスクライミングの南沢小滝で、その前に、ステップアップとなっていない。山行が一つ一つバラバラというのはそういう意味だ。前の年の冬山合宿は、槍の中崎尾根でラッセルを愉しむ山。まったくつながっていない。連続性がないとは、そう言う意味である。

つまり易から難への基礎的なルールを外しているのだ。その点に気が付けるかつけないか?は、その人の登山者としての命の長さとかなり相関関係がある。
 
■ 自力山行がその人の力

自分の力で行こう、とすると、10の力があっても8の山にしか行けない。

さらに自分が主催して、誰かを連れて行くとなると、相手の力量にもよるが、その人の力量がまったくの未知数の場合は、10の力があっても、6の山にしか行けない。

自分だけでなく、ついてきてくれる人の安全も考えないといけないからだ。

だから、自分で自分の安全が担保できる”自立したセカンド”つまり、”ケツを歩いてくれる先輩”は、貴重だ。10の力で8の山行に行くことが可能になるからだ。

そうでない相手と行く場合は、10の力があっても 6の場所からがスタートだ。

■ 師匠のアドバイス

・講習会で行くような沢ではなく、 入渓者の少ない沢でいろいろなテクニックを実戦を通じて身につける。
・少し経験を積んでからの他流試合。
・沢は会によって登り方が違うのが面白い。
・ロープの使い方はいろいろ

沢は登山のように一般道がない。連れて行ってもらうと言うよりも、”その道”の先導者が必要な世界。

これは単なるボヤキだが、登山でも、”その道の先導者”が必要だと思うし、それが山岳会の先輩や、ガイドの役目だと思うが、最近のガイドの活動は、”その道の先導者”ではなく、自分は先輩から連れて行ってもらって、タダで身に着けた技術と知識を、人にお金で切り売りし、しかも、できるだけ高く売りつけよう、という活動になってしまっているような気がするのは気のせいだろうか?