3/07/2019

沢登りの良い教科書がない!!

■ 沢の新人さん

久しぶりの投稿です☆

今日は例会で会って、沢登りに興味がある年上の新人さんと沢の座学講習会をした。

というのも、今日はなんと雷&暴風雨の日(汗)。山に行く予定だったんだけどな~。

東京方面では、秀山荘などが沢登りの説明会をしているが…、そういうことでもないと、沢は入門しづらいのが実情だ。

沢登りアドバイス

沢登りの良き教科書がないかな?と家の書棚を、がさごそと探したが…

岩崎元郎師匠の、『沢登りの本』しかなく、ロープワークや、沢装備の説明が貧弱…。うーむ。

確か、ヤマケイ登山ガイド『沢登り』というのがあったと思うが‥いったん分かるようになると、あんまり見返す必要がない(笑)。

というのが沢の入門書が出ていない理由ではないかと思われる…。一応、この記事の下のほうに沢登りで読むべき本をまとめておいた。東京ならトマの会があるよなぁ。あれは初歩的なルート集とセットになっていて素晴らしい本だった。

今日は、

・岩崎元郎著『沢登りの本』
・堤信夫著『全図解レスキューテクニック』

を貸し出した。後者は、”全図解” ”レスキューテクニック”という仰々しい名前よりも、ハイキングレベルで出てくるレスキューに必要な知識…シットハーネスとか…が出てくる。

私も登山からアルパインへ進むあたりで、この本を目を皿のようにして読んだ。チェストハーネスの作り方とかテープ結びを覚えた。ところが、すぐに本物のハーネスを使うような山しかしなくなり、ナイロンスリングでシットハーネスを作るようなタイプの山に、とんと縁がなくなってしまった(笑)。でも、一般登山しかしない人がいきなり岩装備を一式そろえるというのは、よほど視野が広くないとできないと思う。

大体、一般登山の人は、岩登り=死、という先入観があり、それを解除するには、周囲に岩登りをやっている人がいて、「なんだか私にもできそうなんだけど!」と思わないといけないんではないかと思うからだ。先入観や固定観念を覆す必要がある。

というわけで、通るべき道を通ってもらうことにし、今回はシットハーネスと環付きビナを購入してもらうことになった。

★簡易ハーネス用ギア
・幅広ナイロンスリング120cm
・ツイストロックの安全環付きHMSカラビナ(マムート?)

買って無駄にならない選択(笑)。ナイロンスリングは、細幅もあるが、シットハーネスにするなら、太くないと痛い。ナイロンスリングは、この一本以上買わないように、と忠告しておいた。ナイロンは水を吸って重くなるので、結局ダイニーマばかりになってしまうからだ。

HMS型のロッキングゲート式カラビナは、締め忘れを防ぐ。沢用でツイストゲートが高いけれど、おすすめだ。これは末永く使えるので、初期投資しても大丈夫。

■靴とヘルメット

沢ではヘルメットは当然被る。上からラクが落ちてくるのと、滑で滑っても地盤が岩なので、頭を打つことがある。

沢靴は、フエルトvsラバーソールだが、図式は結構簡単。

 ラバーソール=花崗岩
 フエルト=それ以外、低標高、コケっぽい沢

以上終わり。

■ 足こしらえ

その他、足回りは、靴下にネオプレン。すねあてにネオプレン。そして、下山に、鋲付き地下足袋(ワークマン)。

すべてワークマンで購入できる。雨具も汚れるのでワークマンで問題ない。

■パッキングと地図の準備

パッキングは、当然だが、防水処理。余談だが、横にデブのキスリング型ザックは、枝にひっかかって、沢に向かない。縦型シンプルをお勧めしておいた。

地図も磁北線を引き、防水袋に入れる。磁北線に感動してもらえた。なるほど磁北線、北が北ではないというか、6.20度西に傾いていることを教えたら、喜んでもらえた(笑)。
らなかったのか~と(笑)。

地図周りは、これだけでも、講習会になる内容なので、国土地理院の地図を買わなくても、ヤマレコで印刷できるよ、でお茶を濁す(笑)。

コンパスの使い方は、それはそれで、一日仕事だからだ。

私的には、最初のころは、沢用のパッキングがなかなか上手く行かないで、中身のパンとか、おにぎりを濡らして嫌だったんだよなぁ。

あと帰りのウエア…、沢って臭いので…着替えたいけど、着替えを持っていくと、濡らさないようにしないといけなくなるし…。結局、臭いまま帰るってことになったんだが(笑)。車の陰でこっそり着替えるのを覚えた(笑)。

■ 例題:長尾川

長尾川が初心者向きだろうと教わっていたので、長尾沢を例題に、水線と尾根を書き込んでもらい、入渓から、シナリオを想起した。

長尾川トポ
ムーブの記録

標高100m上がると、左岸から枝沢の流入があって…つぎは尾根で、とか、そういうの。

これがないと間違って隣の沢に入っても、気がつかなかったりもするんだよなぁ(笑)。

どのくらいで急になるとか、詰めは一個間違えるとコルに出るはずだとか…大体、地形を想像していけば、シナリオと違う場合に、間違いに気がつきやすい。

この辺は間違いを内包しながら進むということさえできていれば、間違いを犯さないことは、そう重要なことではない。が、そんなことは初心者時代には分からない。間違ったらいけない!!と固く思っているケースが多いので、間違ってもいいのだ、と分かること…がミソ。

これが予習できて満足した。

あとは下山の選定。できたら、林道歩きは避けたいものだ。

尾根は谷の両側にあるのが普通なので、どっちを選んでもいいのだが、まぁ、合理的なラインというものがある。

■ ロープワーク

雨でどこにも行けなかったので、マンションの外廊下で講習(笑)。誰も通りがからなくて良かった~。それでも、すっごく寒かった…。

階段5段くらいを使うのだが、つまり緩傾斜だが、これってどうなのでしょうね?いや~初めて懸垂する人というのは、ロープに体重を預けるだけが、怖いのです。

やっぱり恐る恐る、されていました。階段なので、立てるのですが、ロープに体を預けるというのが…。そもそもロープへの信頼が生まれていないので、ロープに体重預けられない。やっぱりなぁ。予想通りです。

・ムンターでの懸垂
・8環での懸垂
・ATCでの懸垂
・ルベルソ4での懸垂

肩がらみ、腰がらみは見せるだけにしておきました。現実的でないからです。

フィックスロープの通過も行いましたが、これについては、まぁ、触り程度。フィックスのほうが実はトラバースなので怖いことがあるのですが、初心者の間は、トラバースが怖いことは分かっていないので(笑)、言わないでおきました。

でも、実はトラバースで落ちたら助けられないですよね。

■ ルート集と山の本

ルート集は九州では、『九州の沢と源流』が有名だが、もう古書になっており、ネット検索全盛の今日、目次以外要らないのではないかと思われ…(笑)。

北アの沢のルートガイドの奥付をコピーして渡し、沢の記号を覚えてもらうことにした。遡行図を書けなくても、遡行図の意味がわかるようではないと。

沢登りWiki

山の本は、『俺は沢やだ!』が受けていた(笑)。成瀬さん、この本以外に、普通に沢の初心者向け教科書的なものを書いてほしい。

というか秀山荘あたりが適当なホームページにそうした情報を掲載してくれると助かるのだが…。

沢登りと言っても、やっぱり一応人の命がかかるわけで、無資格者が言うよりも、ここは権威が必要なところ。

■ 安全対策

沢の安全対策と言えば、

 ・メンバーが3名以上であること
 ・携帯が入ること

これは、藪山と同じである。

藪山 = 一般登山者に合わない = 誰にも発見してもらえない = 怪我できない

である。ので、携帯が入る沢に一人沢の時は限る。なにしろ、足を捻挫するくらいは、別に傾斜がなくても、石ころが転んだくらいで可能なのであるから。

■ 虫

最初に見せたのが、蚊取り線香。ヒル対策はネオプレン脛あて&ストッキング?

とにかく虫と仲がよいのが、沢。特に温かい季節。実は、藪漕ぎは冬がシーズンで、沢は夏がシーズン。暑い夏に沢の涼しさは本当に癒される。

■ ホームベースの沢

とりあえず、休みが核心になりそうということで、私の伝丈沢のようなホームベースの沢を持つことを提案。春夏秋冬、通うと四季折々の表情が分かる。

伝丈沢(金石沢)は、沢もしたし、アイスもしたし、読図の山もしたし、ツエルト泊で楽しかった。焚火もこしらえた。今見たら、まさに山を遊びつくせ!だなぁ(笑)。

伝丈沢1
伝丈沢2
伝丈沢3
伝丈沢4
板敷渓谷 奥昇仙峡の沢
金石沢 アイス 金石沢は伝丈沢の隣
金峰山研究 金峰山は伝丈沢が突き上げるピーク
八幡尾根 伝丈沢の隣の尾根
黒平ルート 金峰山へ至る廃道
近所のクライミング 一杯

とりあえず、彼女は沢はまだ行ったことがないので、沢とのお見合い、が課題だ。

行ってみて、やっぱり沢嫌い、ということにはならないだろうと思ったけれど、これが本当に沢に適性がない人もいるんだよなー。

まぁ基本的には、彼女はとっても楽しそうで、沢どころか、色々な山に適性がありそうだった。

でもやっぱり、初めての懸垂下降をしたばかりの人を、25m懸垂でスタートする、野北に連れて行くのはないなーと思ったのだった。

■ 本のリスト